死後も連れ添えるかを問いかけてくる『糸』と、彼岸のアルバム〘中島みゆき【EAST ASIA】〙

作品感想

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 中島みゆきさんの考察ブログの方が、私にとって幸せか?

 

ありがたいことに、ニューアルバムの感想記事だけは、圧倒的な訪問者数を叩き出しており

 

 

それきっかけで、初の広告収入を得たりもしたのです。

(みゆきさんのCDお買い上げいただいた♪)

 

 

もうこれみゆきさんのアルバム考察書いた方がpv数稼げるんじゃないの?

 

 

いっそそっちに舵切った方がいいんじゃないの?って気もしてくるわけですわ。

 

でもな、現在、それが決してやりたいことでもないんだな。(2023.7現在)

 

 

聴く人、ひとりひとりに感想があり、受け止め方があるんだし、自分の考察なんて、別にどっちでもいいかな~って。

 

ご本人も《世に出した曲、提供した曲、どうされようが後はお任せ》なスタンスに見えるし…。

 

 

だから、全アルバムの感想や考察に手を出すことは、この先も(当分)ないと思うのですが、

 

今、一枚だけ、熱く語りたい作品がある!

 

 

 

『糸』収録の【EAST ASIA】だ!!

 

 

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 『糸』は、何がどうしてこうなったのだ??

 

 

初聴きした時、もちろんいい曲だなと思いました。 が!

 

 

それがまさか国民歌謡みたいなことになるとは思わなかった。

 

おっそろしい人数にカバーされたり、過去の24時間テレビでサビばっかり合唱されたり。

 

 

(↑ 私のバカせまい史【公式】 様のTwitterより /  番組調べでは只今148人だそうです)

 

 

 

でもさぁ…そもそもこれって、手放しで喜ぶような幸せな歌なんだろうか???

 

 

 

【EAST ASIA】を、通しで聴かれた方には「あー」って言っていただけるかと思うのですが

 

『糸』の一つ前の曲である『二隻の舟』のアウトロと、『糸』のイントロって…けっこう
繋がって聴こえるんですよね。

 

『二隻の舟』がふわぁ~っと波間に遠ざかったかなぁと思うと『糸』が光となってふわぁ~と
やってくる。

 

近いところでは、最新作『世界が違って見える日』で

『噤』(つぐみ)と『心月』(つき)を意図して繋がるようにした、のは明らかにされていますが

 

 

『糸』って『二隻の舟』のアンサーソングかなと思ったもん。子どもながらに。

 

リリースされた当時のインタビュー記事や音楽雑誌を読んでいないので
「違うよー」とか「今さらだよー」なんてこともあるかもしれません。
その点はどうぞご容赦ください。

 

 

 『二隻の舟』のインパクトが凄いんです

 

 

嵐にめちゃくちゃに翻弄され、マストか船べり掴んで思わず目を瞑った。

 

あれ…。

 

風は止んでいる。

 

あたりは真っ白だ。

 

もしかしたら自分死んだかもしれない。

 

乗ってた舟はどこ?

 

もしかしたら周りに残骸散らばってるかもしれないけど、体重くて確かめる気もないや…。

 

波が背中を洗ってゆく。

体の下で、砂がさらさらと運ばれていく感覚が心地いい。

 

 

上空には星か月か太陽か。

白く笠をかぶってるから、ほやけた頭ではすぐには判別しづらい。

 

 

 

心の支えだった「おまえ」(『二隻の舟』)は今どこだろう。

 

もう会えないかもしれない、私が死んだかもしれない、おまえが死んだかもしれない、
二人とも死んだのかもしれない。

 

 

 

でもそれでもいい、生きていようが死んでいようが私たちは変わることはない。

距離など超越して私たちは同じものだ。

 

…これが『二隻の舟』のアウトロが吸い込まれるように遠ざかって『糸』のイントロ10秒くらいの間に私が抱くイメージ…(全体では約40秒程です)

 

 

 

 

お手元に【EAST ASIA】お持ちの方なら「あー」って言っていただけるかと思うのですが

 

『糸』の歌詞のページで

みゆきさんは、何だか神殿ぽいところで何かを覗いているのです。

 

光のゆらめき具合からして…やっぱり水? 巨大プール?

 

何を見ているのか、いや何が見えちゃってるのか。

 

 

絶対『糸』は侮っちゃいけないて!

 

そんな、ひらひら、ふわふわ、歌う曲じゃないって!  それなりに怖いって!

 

みゆきさんが神殿にいらっしゃるから、ついギリシャ神話な絵も浮かんでくる。

 

えーと

 

こんなのとか?

『オルフェウスの首を持つトラキアの娘』 ギュスターヴ・モロー作

 

 

こっちでもいいかな。

『オルフェウスの死』 ジャン・テルヴィル作

 

 

生と死の境界線が曖昧になっている、解け合っている。『糸』はもはやそんな世界。

 

 

 彼岸のアルバム『EAST ASIA 』

 

私、このアルバム自体が、異界というか、異国というか…そんな気がしてならないのです。

 

ジャケットの〘白〙に引きずられてるのかもしれないけど。

 

死と眠りの世界にとても近いアルバム。

 

 1.『EAST  ASIA』

 

説明不要なくらい、舞台は異国。

 

歌の世界はやがては国境を超越して…いくのですが、ここでそれはさておいて

 

のっけから、なんで音と歌でそこまで表現できるのぉ!?って思う程、異国。

 

 

 2.『やばい恋』

 

エレベーターが昇降することで上下という異界へ連れていかれる。

 

…考えたらエレベーターって、僅かな時間で人を別の空間へ運ぶ、極めて不自然な乗り物じゃないか?

 

エレベーターが怖い人って、それを無意識に感じとってらっしゃる?
(怪談のアイテムになるわけだわー)

 

 3.『浅い眠り』

 

次は、時間という、横の異界。

 

ん? 『やばい恋』でと来て

『浅い眠り』で

で、このアルバムのラストが『糸』?

 

ん?んん? (もう考えすぎ?)

 

 4.『萩野原』

 

もう絶対「あの人」は死者だろ!?

 

 

もしくは胎内記憶か、産まれる前に『上で会ってた人』だ!!

 

 5.『誕生』

 

ファンが凄く多いこの名曲を、数行で片付けるのが畏れ多い行為なのですが
(私緊張している)

 

 考察1 素直に、過ぎ去った日々を包み込む歌

 

ある程度の年月を歩んできて、立ち止まり、ふと振り返る。

 

酷く辛かったことも、逆に全身を貫くほどの喜びを感じたことも
愛おしい記憶として包み込もう。この傷を自ら癒そう。

 

 

余談ですが、私が以前『誕生』に持っていたイメージは
「そつがなさすぎの名曲ぅ!!」でした。

歌詞凄い! 特に愛をわかる為の通過儀礼4つが重すぎて凄い!
ボーカル当たり前だけど凄い!
構成凄い!

なんかもうこの曲、優等生すぎる!の位置づけでした。

 

あぁもう!「♪この語彙のなさを憎む~♪」なんですが。

 

 

 

それが近年、自分の中でも「この優しさに素直に身をゆだねよう」に変わってきたように思います。

後述にもありますが、自分が年を経たことや環境が変わったことで、味わい方も変化してくるって…。あるんだなー。

 

 

 

 考察2 やっぱり、この世の者ではないのでは?

 

この曲の「私」って、この世の人なのかなぁ~。

 

「あなた」にめっゃくちゃ近い立場ながら、一足先に旅立った存在か。

 

それとも既に人界を超越した存在か。

 

 

 

『あぶな坂』の「あたし」ほど、【触るな危険】でもないんだけど

 

境界に立ち、人とは違う時間の流れの中で、こちらの生と死を見つめている者。

 

 

 

イメージは、山から降りてくる優しい霧です。

 

巻かれて辿り着いた先が異界でも

それはそれで幸せに暮らせそうだし、現実世界に戻ってきても、これから先の日々を、まぁ…
勇気を出して生きられそうだ。

 

 

 

 6.『此処じゃない何処かへ』

 

ほら!みゆきさんもそうしろって!!

 

お墨付きだよ!?

 

 

 7.『妹じゃあるまいし』

 

初めて聴いた時、

「あ、ここまでハードだったから、箸休めみたいな役割でここに入ったのね!」と思いました。

 

おいっ!

 

…子どもでしたからね。

 

箸休めという言葉を理解してたかわかりませんが、とにかく一休みする歌だと思った(それ程までに他の個性が強い)

 

けれどねー。これ自分が年重ねたら『受け止め方がまた違ってくる曲』の代表選手でしょ。

 

みゆきさんの楽曲には自分が変わったことで、唸らされる歌もまた変わってくる、
という楽しみ方があるのですが

 

これ、優しく聴こえて実はかなりの残酷ソングでしょー。

うわぁ。きっついわぁ~(身悶えてる)

 

 

そして前述の 8.『二隻の舟』

9.『糸』へと流れるように連れ去られます。

 

 死後も連れ添える覚悟はあるのか

 

この曲が、みゆきさんご本人の親しい間柄の方の、結婚式用に書き下ろされたということは
後年になって知りました。

 

 

うん、でも確かに初めて聴いた時から、アウトロが結婚式っぽいなーとは思った。

 

新郎新婦が手を取って歩みを進める感じが。もう、音で見える。

 

 

 

だけどこのバージンロードの続く先は?

光が輪の中過ぎて、白く飛んじゃってますがな。

 

 

だって『断崖に向かって踏み出してる』(アルバム【親愛なる者へ】) って言っちゃったり

『愛かゼロか』(アルバム【LOVE OR NOTHING】 ) と長年私らの喉元に匕首突きつけて、
覚悟はあるかと問うてきた御方ですよ?

 

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「死が二人を分かつまで」なんて、そんなぬるいことは認めない。

 

 

人間界での別れには、もしかしたら大いなる時差が発生するかもしれないけど、
あの世でも手を携えられるか。覚悟はあるか。

 

 

今日結ぶこの縁は、それほどまでの強固な縁でありますように。

 

 

 

これはもちろん祝福の歌だけど、

 

でも。

 

神殿の巫女は、今日も巨大な水盤を覗き込んでいるのです。

 

 

 

 

 

↓ みゆきさんと、みゆきさんの『糸』に菩薩を見た

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